2017年09月21日

古い町屋、木が露出しているのはなんで?

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


昨日は彼岸花のお知らせにホッコリしたことを書きました☆

今日は、「古い町屋を見ると、1階部分が木で、2階が漆喰塗りが多い気がするんだけれど、何か意味があるんですか?」
というご質問について書こうと思います。

2階部分は漆喰塗りで防火の処置がされているのに、1階は木がそのまま露出しているので、防火にとっては良くないのでは?と
思われたそうです。


古い町屋、木が露出しているのはなんで?

木造住宅にとっての最大の敵は火災。
確かに、不思議に思えますね。


以前、籠窓(むしこまど)のことを書きましたが、
2階の窓は漆喰で塗りこめられているのに、1階は塗られていません。

町屋に限らず、古い商家の建物でも、1階部分に漆喰が施されているのは腰の高さより高い位置です。
下の方は板張りが多いですね。
古い町屋、木が露出しているのはなんで?


隣家からの類焼防止という面では、実は理に適っています。
建物が火災で燃えた際に、その周辺の建物が受ける輻射熱の温度分布は、
2階部分が非常に高いのに対して、1階部分はそれほど高くないんです。

長く木造建築で火災と向き合ってきた先人は、体験からそのことを知っていたのですね。

また、小泉八雲旧居の門と塀の部分でも触れましたが、
塗り壁は、風雨に弱いことから、雨掛の部分は板張りなまこ壁で保護しているんです。


そして、もう一つ、これは外観だけでなく、古来の木造住宅全般に言えることですが、
「材料(特に木材)の呼吸」を大事にしていた点です。
外部、内部共に、木材が露出しているところが多いのは、その為です。

木材の呼吸を妨げないことで、蒸れ腐りやシロアリの被害を防ぎ、地震や台風に対しても強い建物の足元を維持してきました。
加えて、メンテナンスの容易さも考えられています。


現在のように、木材をモルタルなどで覆うことで改善されたこともありますが、その結果木材の呼吸ができなくなり、
蒸れ腐れやシロアリの被害などが出てきました。
もちろん、それを防止するために新たに対策を講じて現在の住宅は建てられています。
でも、追いかけっこ感が否めないなぁ~と個人的には思います。


伝統木造住宅のような建物が現在建てられないのは、多分野から見た総合的な研究がなされていないことが大きな要因です。
これまで、伝統木造建築に対する研究は、ほとんどが建築史の分野によるもの。
様式研究や、歴史背景などです。
でも、建築設計や構造、材料、気候や風土などの視点でなされた研究は少ないのが現状です。

長く先人が守ってきた伝統木造建築に対して、多方面からの研究がなされ、木造文化を守っていくための土台が必要ですね。
その為にも、現在の住宅と伝統構法、両方の勉強をしなくてはと思います。
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古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
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