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Posted by あしたさぬき.JP at

2016年03月11日

筬欄間(おさらんま)・壁抜き欄間・透かし欄間―井筒屋敷より

こんにちは☆
香川県さぬき市の谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


今回は、引田町「讃州井筒屋敷」の欄間特集です☆
まず、欄間とは、天井と鴨居の間の小壁に作られる開口部のことで、採光や換気の役割の他、優れたデザイン性のものまで多種多様な種類があります。
平安時代の仏堂が始まりとされ、桃山時代になってそれまで格子組が一般的だった欄間は彫刻が施され、デザイン面でも発達しました。

欄間の種類は、取り付けられる小壁の場所による分類と、欄間の形状による分類があります。


上の写真の欄間は、縁側と座敷の間に取り付けられた明かり採りを目的とした「明かり欄間」という種類です。
形状は、紙障子が貼られた「障子欄間」。



↑こちらは、部屋と部屋の間、境になる部分に取り付けられる通風を目的とした「間越欄間」という種類です。
欄間の形状は、筬欄間(おさらんま)という組子欄間の一種です。
筬欄間とは、細い組子を縦に組み込んだ形状の欄間で、筬(おさ)という機織り(はたおり)で使う櫛形の道具と形状が似ていることから筬欄間という名称が出来ました。
写真のように、特に組子のピッチが細かい(狭い)ものを「千本格子」といいます。

筬欄間は、格式の高い座敷と次の間との間に設けられることが多く、井筒屋敷でもお客様のもてなしの空間である奥座敷にありました。


(座敷側)
(縁側側)
↑こちらは、茶室の隣に位置する水屋と、縁側の間にある「明かり欄間」です。
左官仕上げの壁を半円にくり抜いた形状の「壁抜き欄間」と障子欄間が組み合わさった形状です。
格子は寒竹で組まれています。
数奇屋では左官壁をくり抜いた形状の開口(窓や欄間など)は好んで使用されます。



↑茶室と縁側の間にある「明かり欄間」で、先ほどの壁抜き欄間プラス障子欄間の組み合わせです。
ハマグリ型にくり抜かれた形がとてもかわいいですね☆
格子は細く丸めた黒檀で組まれています。(写真では、縁側の天井と欄間が格子と重なって見えづらいですが(-_-;) )



↑こちらは、茶室と水屋の周りを囲む縁側と外部の庭との境にある欄間で「縁側欄間」
形状は板欄間の一種で、「透かし彫り欄間」です。
「透かし彫り欄間」とは、板を部分的に裏までくり抜いて文様を透かして彫った欄間を言います。

井筒屋敷の透かし彫り欄間には、一枚の板に小さい文様が等間隔に彫られていました。









最後に、番外編。
こちらは、蔵を改築してお店にしてある部分で見られたのですが、欄間を再利用していました。
木目を生かして彫る「彫刻欄間」です。
松の彫刻がダイナミックに施されていました。

現在、改修中のお寺の庫裡(くり)にも、玄関に欄間を入れるので、楽しみです☆


デザイン性も、欄間という限られた空間で光る職人の腕も見応えがある欄間。
欄間は番外編であったように、そのまま他の場所に組み込むことが出来るので、是非再活用しながら受け継いで行きたいですね!


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Posted by 谷野設計 at 23:42Comments(0)古民家探訪建築用語