2016年07月28日

渡邊邸の茶室「孤月庵」内部の建具特集

こんにちは☆

谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。

今回は、渡邊邸の茶室「孤月庵」内部に使用されている建具の特集☆
渡邊邸の茶室「孤月庵」内部の建具特集
上の写真は、点前座を写したものです。
下がり壁にある、格子を組んだ開口部は「下地窓(したじまど)」と言います。
下地窓とは、葭(よし)を1~5本程度の本数を変えて、縦・横にバランスよく組みあげた後、所々に藤蔓(ふじつる)を絡ませて作ります。
葭の本数や、格子の間隔など、約束事や制約が少ないため、様々なデザインがあります。

こちらの下地窓は、少し縦長の開口で、真ん中より少し上に葭を5本横に組み、それ以外は、1・2本を組み合わせてあります。
あえて、アンバランスに組んだ格子が、奥の壁に柔らかなシルエットを映しているのも、風情がありますね☆


点前座の正面にあたる部分に畳より20センチほど上がった位置にあるのは、「風炉先窓(ふろさきまど)」です。
外側は、下地窓となっていて、内側は引き残しの紙貼り障子にします。
風炉先窓は、点前座の明るさの確保と、換気のために設けられます。
渡邊邸の茶室「孤月庵」内部の建具特集
外から見た、風炉先窓。 下地窓になっていて、内部の下がり壁の下地窓と異なり、縦横に等間隔に1本・2本の葭が規則的に組まれています。


渡邊邸の茶室「孤月庵」内部の建具特集
上の写真の、中央より少し左にある、上部が曲線になっている開口部は、給仕口(きゅうしぐち)。
右手にも写真では開いた状態ですが、建具があります。そちらは茶道口(さどうぐち)。

どちらも、亭主が客にサービスするために設けられる出入り口です。
大目畳の席では、このような2つの出入り口が設けられます。
その場合、全く同じものではなく、デザインを変えることで、空間に変化をもたらすことが好まれてきました。

茶道口が方形の開口に対し、給仕口は、写真のように火灯口(かとうぐち)という丸みを付けています。
この火灯口の丸みは、真円よりも楕円に近い方が良いとされています。
茶の流派による違いもあり、裏千家では深く、表千家では浅くするといいます。
渡邊邸の茶室「孤月庵」内部の建具特集
北側の戸を開けていると、給仕口から白山が見えます。

渡邊邸の茶室「孤月庵」内部の建具特集
給仕口の横の壁に上下互い違いにある開口は、「色紙窓(しきしまど)」です。
千利休を師とする、古田織部(ふるたおりべ)の創案とされています。
色紙窓とは、上下2段の窓で、2つの窓の中心がずれているのが特徴です。

こちらの色紙窓は、下地窓に片引きの紙貼り障子となっています。
色紙窓に合わせて、互い違いに竹を配したデザインがとても素敵でした。












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