2016年11月23日

普茶料理「阪口楼」で見た衝立、屏風と、室礼(しつらい)の歴史

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


前回、普茶(ふちゃ)料理のお店「阪口楼」の引手をご紹介しました
今回は、室礼(しつらい)をご紹介したいと思います。

その前に、室礼(しつらい)って何?ということから。
室礼(しつらい)とは、今では、行事や催し事、季節に合わせて空間を演出するために調度や飾り物を整えることを言います。
ひな祭りの雛段や、五月の節句の兜、掛け軸や、生け花などが分かりやすい例ですね。

室礼(しつらい)という言葉は、平安時代にでき、古くは寝殿内で請客饗宴(きょうえん)・移転・女御入内(にょうごじゅだい)などの晴れの儀式の日に、寝殿の母屋や庇に調度類を整えることでした。


普茶料理「阪口楼」で見た衝立、屏風と、室礼(しつらい)の歴史
式台玄関を入ってすぐ、一枚板に扇の画が入った衝立(ついたて)が目に入りました。
衝立(ついたて)とは、衝立障子の略で、障子の一種です。
台脚の上に、襖障子や板障子を立てたもので、目隠しや座敷の仕切り、風除けの為に置く塀障具(へいしょうぐ)です。

衝立は、屏風絵に見られるように、平安時代でも重宝されていたようです。でも中世に入り、建具の発達に従って、あまり使われなくなりました。
再び衝立が使われるようになったのは、近世に入ってから。
玄関口や座敷、通り庭や台所といった場所に見られるようになりました。
普茶料理「阪口楼」で見た衝立、屏風と、室礼(しつらい)の歴史
上の写真は、屏風(びょうぶ)です。
屏風とは、室内に立てて人目を遮ったり、空間を仕切ったりする折り畳み式の塀障具(へいしょうぐ)です。
現在の形は中世以降ほぼそのまま変わっていません。木の枠に、和紙や襖紙などを貼り、「おぜ」という縁を和紙の蝶番で連結して前にも後にも折りたためるようになっています。

屏風の一枚を「曲(きょく)と数えるので、こちらの屏風は2曲です。

因みに、広間の茶室ではよく2曲の屏風が使われます。
茶室で使用するこの2曲の屏風は、道具畳としての区別をつける意味合いがあり「風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)」と呼びます。

普茶料理「阪口楼」で見た衝立、屏風と、室礼(しつらい)の歴史
こちらは、床(とこ)の室礼。

床の室礼は、特に「床飾り(とこかざり)」と言われます。
季節や行事に合わせて趣向が凝らされる場所でもあり、家人のもてなしの心が表れる部分でもあります。
八栗寺の麓にある山田屋さんに正月に行った際の床飾りと、床の間の構成は、別記事で紹介しています。


私は、絵画や骨董品に関しては専門外ですが、床飾りには必ず拝見し、伺うようにしています。
そのお家や、家人のおもてなしに対して「有難うございます」の気持ちを忘れないようにしたいなと思っています。

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