2016年03月24日

井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など

こんにちは☆さぬき市谷野設計の谷野です。
お読みいただき、有難うございます(*^-^*)


本日は、古民家の天井特集☆

古い古民家では、天井が張られている部屋は座敷のみという家がほとんどでしたが、天井を張ることで部屋の断熱性が上がり格段に暖かくなるうえ、屋根からの塵や埃を止めることもできるので、次第にどの部屋にも天井が張られるようになりました。

東かがわ市引田町の井筒屋敷で見た、色んな天井を集めてご紹介します。
井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
上の写真は、鏡板張り天井(かがみいたばりてんじょう)です。
杢目の面白さを楽しめる天井で、継ぎ目の無い一枚板を張り上げる天井のことを言います。

こちらは、帳場と縁側の間の床(とこ)に使われていました。
杢目から、薩摩杉(さつますぎ)ではないかと思われます。
薩摩杉は、鹿児島県屋久島の稀少材で、緻密な年輪が特徴です。
写真のように、鶉(うずら)の羽のように見える鶉杢(うずらもく)という杢目が出ているものは特に天井板として好んで使用されます。

井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
奥座敷の床と床脇の天井をそれぞれ見てみると、天井は床が高く、床脇が少し低くなっていました。

井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
床(とこ)の天井
杉板を使用した目透かし天井です。
目透かし天井とは、天井板同士の継ぎ目をぴったり合わせるのではなく、隙間を少し開けて仕上げたものです。
目地という隙間の開け方によってデザインが豊富にあります。

井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
床脇の天井。
隣の床よりも天井が低い、落ち天井になっています。
落ち天井とは、水平な天井が2段になっている場合の低い方を指して言います。
書院や地袋の天井を落ち天井とする場合が多く、茶室の点前座(てまえざ)の天井にも見られます。

天井の仕上げは、竿縁天井(さおぶちてんじょう)という、竿縁(さおぶち)という細く加工した木材に天井板を乗せたものです。
竿縁の加工の仕方や材料によって、デザインを楽しめます。

先ほどの床の天井と見比べてみてください☆
天井板の張る向きが異なるだけで、だいぶん雰囲気が変わっているのが分かると思います。
床の間は、天井の長編方向と板の長編方向が平行に張られていますが、床脇は天井の長編方向と板の長編方向が垂直に張られています。

床の間には落ち着きを、床脇には動きのあるデザインを取り入れた遊び心を感じます♪

井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
縁側の天井
こちらも竿縁天井です。
注目したいのは、床(ゆか)と天井の板の張り方の違いです。
床は、奥行きを出すように縦に板が張られています。(空間の長編方向と板の長編方向が同じ)
それに対して、天井の板は、横に張られています。
これは、縁側の天井部分のメンテナンスが関係しています。雨漏りなど、部分的な木材の傷みに対して張替しやすいようにしてあるんですね☆


井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
茶室と水屋を囲む縁側の天井。
こちらは、屋根の傾斜に合わせて勾配のついた勾配天井です。

井筒屋敷に行ったら是非見てほしい天井がこちらなのです(*'ω'*)
化粧屋根裏天井(けしょうやねうらてんじょう)という(化粧軒裏天井・小舞天井ともいう)、小屋組みや、屋根の材料をそのままデザインとしている天井です。

天井に張られている板は、椹(さわら)を薄く剥いだ板を使っています。

横に渡っている垂木(たるき)には、丸いのと四角いのが交互にありますね☆井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
丸い木材は、「台杉の小丸太」、四角い木材は「栗のなぐり」だそうです。
なぐり(名栗)というのは、手斧(ちょうな)を使って削り、削り痕を残した加工です。

井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
水屋の天井
矢羽根編みの網代張り天井(あじろばりてんじょう)です。
網代貼り天井とは、枌板(へぎいた)という木材を薄く断ち割った板(野根板ともいう)や、竹皮で編んだ網代を、天井の下地板に取り付けたものです。
網代貼り天井は、数寄屋建築の建物や茶室に多く取り入れられています。一般の住宅でも床の間に使用されたりしています。
写真のような矢羽根の編み方以外にも種類が沢山あります。

井筒屋敷の天井特集-鏡板張り・目透かし・竿縁・化粧屋根裏など
浴室の天井
こちらは、写真でうまく伝わらないのが残念なのですが、天井の中央が高くなり船底を逆さにしたような形になっている船底天井(ふなぞこてんじょう)です。
井筒屋敷のように浴室に用いられるほか、茶室にも用いられたりします。
野根板を矢羽根模様に張っているのもオシャレですね☆


井筒屋敷の天井特集、書きながら振り返ってみたら面白いですね♪
古民家は、見どころがありすぎます(´▽`)ピカピカ
こんな場所まで凝ってるの?と屋敷の主人と職人さんの遊び心が伝わってきます。


お寺の庫裡の現場で、住職と設計士である社長、棟梁で「こうしたら面白いんちゃう?」と話し合っている姿が重なります。
当時の職人とご主人もそんなやり取りをしていたのかもしれませんね☆



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古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
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この記事へのコメント
こんにちは~♪

えっ 天井って

知りませんでした!
Posted by 沼津の源さん沼津の源さん at 2016年03月24日 16:57
沼津の源さん、こんにちは(^^)

天井にも色々あるので、とっても面白いです☆
上を向いて歩こう♪を口ずさみながら天井探訪してました(´艸`*)

 
Posted by 谷野設計谷野設計 at 2016年03月24日 17:37
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