この広告、メッセージは90日以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事でこのメッセージが消せます。
  

Posted by あしたさぬき.JP at

2018年04月06日

お寺と茶の文化を繋ぐ「✖印」の石

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。

だいぶ前の記事に、お寺や神社で見る菱形格子の持つ意味についての記事を書きましたが、
今日は、久しぶりに「✖」の意味を持つものをご紹介します☆

お寺や修行の場に見られるこちら

特別な意味を持つ領域を示すために置かれる石です。

特別な意味というのは、「ここから先は、この世との境界です」という意味。
結界を示し「結界石」と呼ばれます。

結界石には、写真の石のように、棕櫚縄(しゅろなわ)で結わえた石もあれば、
結界とだけ刻まれたものや、背丈もある大きな石まで、様々です。

宗派によっては、お酒等の持ち込み禁止を記した結界石もあります。


棕櫚縄で結わえられた結界石は、縄を上部から見ると「✖」になっています。
これも、菱形格子の記事でもご紹介した、結界・侵入禁止を表す「✖」です。

現在は、この結界石、違う場所・違う呼び名の方が知っている方が多いかもしれません。

茶庭や路地の飛び石の上に置いてある「関守石(せきもりいし)」(留石ともいいます)
本来は「俗世から離れた神聖な場所」という意味で結界を表す石ですが、
現在は、結界としてよりも
「ここから先は入らないでほしい」という亭主の意思表示の意味で知られています。


何気ない場所にある「✖」にも奥深い意味が隠されているんです☆

因みに、□と○の意味にちょこっと触れている記事はこちら↓


************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


2018年03月30日

縁起が良いな(^^) 栗林公園の小普陀と日暮亭の瓢箪の話

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。

今日も栗林公園の記事を書くつもりで、写真を見返していたら、
すごく神秘的な写真に気付いちゃいました(*'▽'*)✨
こちらの写真↓

光がファ〜✨✨って降りてきている様に見える(*⁰▿⁰*)

ここ、小普陀といって、栗林公園がはじまった場所とされているそうです⭐️

なんだか、良い事ありそう♫
縁起が良いなぁ〜(*´꒳`*)と思ったので、縁起繋がりで、日暮亭で見つけた瓢(ひさご)を
今日は書く事にしました⭐️


道安囲いの席で見つけた瓢(ひさご=ひょうたん)

因みに、道安囲いというのは、点前畳と客畳の間に中柱を立てて、仕切り壁と火灯口を設け、
手前畳が次の間の様に見える造りです。

3つ揃って三拍(瓢)子✨

別サイドにも、三拍(瓢)子で、計6つ。
無病(瓢)息災も兼ねてます。


以前も、渡邊邸の記事で茶室の瓢箪探しの事を書きましたが、
日暮亭の道安囲いの席は、探すまでもなく…
分かりやすいけど、私は探したい(´-`).。oO

でも、お茶室で、キョロキョロ瓢箪探すのも不作法ですね(^-^;
パッと目に入る分かりやすさも、おもてなしの心なのかも…
お茶を習いたいと思っているのですが、建物への興味が強すぎて、
お淑やかにお茶を点てられるのかが、一番のネック(;ω;)だったりします…

************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


Posted by 谷野設計 at 23:59Comments(0)その他史跡巡り建築用語茶室

2018年03月28日

栗林公園の掬月邸(きくげつてい)で見つけたコレな~んだ?答え合わせ☆

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


今日は、前回の記事で出したクイズの答え発表(*´ω`*)

前回の記事をお読みでない方は、先にを読んでクイズにチャレンジしてみてください☆


クイズに出したのは、掬月邸で見つけたこちらの棒


この棒の使用法をボランティアガイドさんに協力してもらって、再現写真を撮ってきました(*´▽`*)♪


実況します☆

棒の方に繋がるレールを走ってきたのは、雨戸です☆


緑の法被を着ているガイドさんに示してもらっているのは、ポイントの場所☆
鴨居に切込が入っています☆

雨戸が、棒に差し掛かりました♪


先ほどの切込の部分から、雨戸を手前に引いてレールを乗り換えます。


クルリン♪


雨戸が、コーナーを曲がりました(*´ω`*)


・・・というわけで、正解は雨戸を廻すためでした(#^.^#)


この棒、「戸回し(とまわし)棒」と言います。

矩折り(かねおり)と呼ばれる、90度に曲がった縁側(廻り縁)で、両面に開口があるのに戸袋が片方にしか付けられない場合などに、
隅の出っ張った所(出隅部)に、戸を回転させる為に付けられています。

同じ役目をするもので、「雨戸廻し金物」があります。(ネーミングがそのまんま('Д')!)


雨戸回し金物の原型が、戸回し棒と考えられています☆

この戸回し棒は、17世紀中期には誕生していました。
それまでの、雨戸や障子を同じ敷居や鴨居で溝分けしていたところから、
雨戸の為の敷居・鴨居が独立し、戸袋から雨戸を1本の溝で引き出す「一筋雨戸」が誕生したことが大きなきっかけです。

雨戸が通る部分の溝が1本になっていますね(手前の白い部分です) (^^)

内部・外部の中間に位置する曖昧な空間が広がったことから、縁の自由度が増しました。
それによって、庭の楽しみ方・鑑賞の仕方も多様になり、戸回し棒の誕生に繋がっていきます。

先ほど、’’戸袋が片方にしか付けられない場合’’と説明しましたが、実際には、庭を楽しむ為に戸袋を敢えて片方にしか付けなかったのかもしれませんね☆
戸回し棒を考えた人に会えたら、誕生秘話を聞きたいです(#^.^#)

栗林公園の他の記事はこちら↓


************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


2018年03月27日

栗林公園の掬月邸(きくげつてい)で見つけたコレな~んだ?クイズ

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


18日に建築士会女性委員会のイベントで訪れた栗林公園。
前回は、
をご紹介しました☆

今回は、ある画期的なものをクイズでご紹介したいと思います(^^)

栗林公園の掬月邸(きくげつてい)で、発見した珍しいもの☆



矢印のところです☆
柱の外側に丸い棒があります。

棒の上は、こんな感じ。


棒の下はこんな感じ。


こちら、何のためにあるものでしょう?

ヒントは、棒の上と下を写した写真をよーくみてください☆
    棒の付いている位置と、溝がポイントです(*´ω`*)

答えは、次回の記事でご紹介します(*´ω`*)ムフフ
************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


2018年03月18日

栗林公園の風景と大興奮の旧日暮亭の露地門

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


本日は、運営のお手伝いをさせて頂く事になった、香川県建築士会女性委員会のイベント「あーきてく茶会」に参加してきました⭐️
今日も良いお天気(^-^)

6月に中四国大会が香川で開催される事もあり、県外からの参加者をご案内するコースの下見も兼ねてのイベントでした。

場所は、栗林公園。
4グループに分かれて、ボランティアガイドさんに園内の案内をしてもらいながらの散策✨

どこをとっても素晴らしい園内✨
普段、探訪しても建物写真ばかりなので、今日は風景写真もいっぱい撮りました⭐️








でも、やっぱり私が気になるのは園内の建物(≧∇≦)
沢山の見所を1度ではお伝え出来ないので、少しずつご紹介したいと思います⭐️

先ずは、現在工事中で、中は見れなかったものの、細部まで凝りに凝った職人技に大興奮した、旧日暮亭(孝槃亭)の露地門。
あ、いつもの癖で、門全体を撮るの忘れてました(^_-)

興奮したのは、

屋根を側面から見ると、破風板(はふいた)の上部に見える、木材を階段状に並べているように見える部分です⭐️
ん??階段状に細かい木材⁇(・・?)
と思って、角度を変えてよーくよーく見ると


破風板の上に載る、登り淀(のぼりよど)の一部を削っているんです(*≧∀≦*)
粋すぎる(*⁰▿⁰*)



そして、もう一つ、竹で組んだ門の戸の部分。
上部は正格子、下部は菱形格子に組まれているのですが、
これまた、よーくよーく見ると


結びの方向を、手前と奥、互い違いにしてあるんです(*≧∀≦*)

横に通っている竹に対して、縦の竹が手前と奥、交互に渡してある場合は、
このように結びが互い違いになるのですが、
縦の竹が全て手前にあるのに、結びが互い違いになっているんです。
結束を強固にする為と、露地門に相応しい「草(そう)」の趣きの両方を兼ねた手の込みよう。


次回は、お茶をいただいた、日暮亭をご紹介したいと思います⭐️
************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp  


Posted by 谷野設計 at 23:22Comments(2)その他史跡巡り屋根茶室

2017年05月29日

茶室で出会うレア釘―室礼の為に作られた釘?

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。

前回は、古民家の生き物探しのまとめ記事を書きました☆

今回は、床の間の中でも、特に茶室の床の間に使われる釘をご紹介します☆


釘といっても、今回ご紹介するのは、木材同士の接合や補強のために使われる釘とは違います。
室礼(しつらい)のための釘なんです☆

床の間に使われる釘には、用途の違いから大きく分けて2つあります。
1つは、床の間に飾る掛け軸を掛けるための釘。
もう一つは、お花を飾る花入れを掛けるためのもの。

花入れ用の釘は、主に茶室の床の間で見ることが出来ます。
数寄屋造りの床の間では取り入れられていたりもするのですが、一般の床の間ではほとんど見かけません。
なので、意図して出会わないと出会えない、レア釘(*´▽`*)

これまた、探訪の価値があるのが、この釘、床の間のどこに掛けるかで、種類が異なるんです!


こちらの写真は、三木町の渡邊邸の孤月庵の床の間。
写真右手の床柱に打ってあるのが、花入れを掛けるための釘『花生釘(はないけくぎ)』です。

レア釘に興奮して、写真を撮り忘れたりで、手持ちの写真が少ないのですが( ;∀;) この他のレア釘も、今後探訪してご紹介したいと思います☆


因みに、掛け軸を掛けるための釘がこちら↓


ここで使われているのは、掛け軸を吊るす時に使われる「折れ釘(おれくぎ)」の中でも、先端がコの字型になっている『二重折れ釘』です。

折れ釘と、花生け釘は、似て非なるもの。
それぞれの用途に合わせて、細かい調整が施されているため、形状や長さなど異なるんです。

「大は小を兼ねる!」と私なら同じものにしてしまいそうですが、
おもてなしの心の表現ともいえる室礼(しつらい)は、ほんとうに深いなぁ~と感じます(゜o゜)

もてなす方と、その場所を作る方、どちらの感性も素晴らしくて、建物を建てることの奥深さを考えさせられます☆

和釘(わくぎ)の記事は、下のリンク記事をご覧ください☆
2016/02/26
お寺の庫裡に使用されていた和釘(わくぎ)
こんにちは☆お読みいただき、有難うございます。さぬき市の「古民家再生と築40年以上の木造専門」の工事も頼める設計屋さん谷野設計の一級建築士・谷野行範です(^^)今回は、和釘(わくぎ)について。写真は、改修中のお寺の庫裡で使われていた和釘です。現在一般的に釘と言われているのは洋釘で、胴…

2016/02/27
古い日本建築は釘を使っていないのではないの?!ご質問頂きました☆
こんにちは☆さぬき市の「古民家再生と築40年以上の木造専門」の工事も頼める設計屋さん谷野設計の学芸員・谷野友香です(^^)お読みいただき、有難うございます。昨日のブログ「和釘(わくぎ)」のことでご質問を受けました。「古い日本建築は、釘を使っていないと聞いたんですが、このお寺では使っていた…


************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


Posted by 谷野設計 at 19:30Comments(2)日本建築豆知識建築用語茶室床の間

2016年10月26日

陰陽を楽しむ窓―無双窓・陽炎窓・火灯窓(三木町渡邊邸より)

こんにちは☆
さぬき市谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


沢山のお茶室が魅力的な三木町渡部邸。
敷地内にある神社の軌跡を辿ろうと、現在も研究中でございます。







建物に残された痕跡で、どこまで行きつくことが出来るのか、途方もなく感じながらも楽しんでいます。

渡邊邸に関しては、孤月庵のお茶室の造り茶室内部の建具や、瓢箪(ひょうたん)探しなどをご紹介しました。

今回は、陰陽の美しさを感じさせる窓をご紹介します。


下の写真は、無双窓(むそうまど)。

無双窓(むそうまど)とは、換気や採光の為に設けられるスライドで開閉する窓です。


一定の間隔で隙間を開けて固定して並べた連子板の内側に、動く無双板をはめ込み、左右に動かすことで開け閉めが出来るようになっています。
松江の武家屋敷でも無双窓がありました。

下の写真は、陽炎(かげろう)窓。
連子窓(れんじまど)という、木や板、竹などを縦に連ねて並べた形式の窓です。
連子子(れんじこ)と呼ばれる並んだ板が波形になっていて、その見た目から「陽炎窓」と呼ばれています。

内側に、紙貼り障子が建てこまれているので、陰影がとても美しいですね。


こちらは、火灯窓(かとうまど)。

火灯窓の中でも、蕨火灯(わらびかとう)という形です。
床の間の付け書院に設けられていました。

火灯窓は、禅宗様の寺院からはじまり、床の間の書院にも多く見られるようになった窓です。
デザインには沢山の種類があり、それぞれの形が作りだす光と影の様子も魅力的です。
色々な形や種類のある日本の伝統建築は、陰陽に対しての美意識の表れなのかもしれませんね。

************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
香川県さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


Posted by 谷野設計 at 18:16Comments(0)古民家探訪建具茶室

2016年07月29日

茶室の水屋と瓢箪(ひょうたん)のデザイン―渡邊邸孤月庵

こんにちは☆

谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


本日は、渡邊邸「孤月庵」の水屋(みずや)をご紹介します。



水屋(みずや)とは、茶事の準備や後終いをする場所です。
水屋では、それぞれの茶事に合わせて茶事を整えます。これを「水屋壮り(みずやかざり)」といいます。

床に竹の簀(す)の子を敷いてあります。 これは、千利休の師であった「武野紹鷗(じょうおう)氏の時代の水屋に見られます。
弟子である千利休の頃には、水屋棚という通り棚や釣棚が整いました。


見上げると、天袋があります。
天井は、石畳編みの網代張り天井となっています。
水屋横にある物入れ。
戸は絹紬(きぬしけ)でしょうか。
荒糸が独特の光沢を生んでいて、とても綺麗でした。

取っ手は瓢箪(ひさご=ひょうたん)。

古くから縁起が良いとされ、茶室にも用いられることの多い瓢箪。

三つ揃うと「三拍(瓢)子(さんびょうし)」。
六つ揃うと「無病(六瓢)息災(むびょうそくさい)」。

言葉をかけて、凝った茶室では遊び心ある隠れ?瓢箪(ひょうたん)があったりします。
もう一つ見つけた瓢箪。

私は2つしか見つけられませんでしたが、(取っ手で2つありましたが、こういう場合数に入れていいのか(._.)?迷います。。。)
他にも見つけたら、是非教えてください☆



************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


Posted by 谷野設計 at 17:00Comments(0)日本建築豆知識古民家探訪天井茶室

2016年07月28日

渡邊邸の茶室「孤月庵」内部の建具特集

こんにちは☆

谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。

今回は、渡邊邸の茶室「孤月庵」内部に使用されている建具の特集☆

上の写真は、点前座を写したものです。
下がり壁にある、格子を組んだ開口部は「下地窓(したじまど)」と言います。
下地窓とは、葭(よし)を1~5本程度の本数を変えて、縦・横にバランスよく組みあげた後、所々に藤蔓(ふじつる)を絡ませて作ります。
葭の本数や、格子の間隔など、約束事や制約が少ないため、様々なデザインがあります。

こちらの下地窓は、少し縦長の開口で、真ん中より少し上に葭を5本横に組み、それ以外は、1・2本を組み合わせてあります。
あえて、アンバランスに組んだ格子が、奥の壁に柔らかなシルエットを映しているのも、風情がありますね☆


点前座の正面にあたる部分に畳より20センチほど上がった位置にあるのは、「風炉先窓(ふろさきまど)」です。
外側は、下地窓となっていて、内側は引き残しの紙貼り障子にします。
風炉先窓は、点前座の明るさの確保と、換気のために設けられます。

外から見た、風炉先窓。 下地窓になっていて、内部の下がり壁の下地窓と異なり、縦横に等間隔に1本・2本の葭が規則的に組まれています。


上の写真の、中央より少し左にある、上部が曲線になっている開口部は、給仕口(きゅうしぐち)。
右手にも写真では開いた状態ですが、建具があります。そちらは茶道口(さどうぐち)。

どちらも、亭主が客にサービスするために設けられる出入り口です。
大目畳の席では、このような2つの出入り口が設けられます。
その場合、全く同じものではなく、デザインを変えることで、空間に変化をもたらすことが好まれてきました。

茶道口が方形の開口に対し、給仕口は、写真のように火灯口(かとうぐち)という丸みを付けています。
この火灯口の丸みは、真円よりも楕円に近い方が良いとされています。
茶の流派による違いもあり、裏千家では深く、表千家では浅くするといいます。

北側の戸を開けていると、給仕口から白山が見えます。


給仕口の横の壁に上下互い違いにある開口は、「色紙窓(しきしまど)」です。
千利休を師とする、古田織部(ふるたおりべ)の創案とされています。
色紙窓とは、上下2段の窓で、2つの窓の中心がずれているのが特徴です。

こちらの色紙窓は、下地窓に片引きの紙貼り障子となっています。
色紙窓に合わせて、互い違いに竹を配したデザインがとても素敵でした。












************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp
  


Posted by 谷野設計 at 15:54Comments(0)古民家探訪建具茶室

2016年07月27日

渡邊邸の茶室「孤月庵」に見る大目構

こんにちは☆

谷野設計の谷野です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


茶室とは、茶事を行う部屋または建物のことを言います。
四畳半の大きさより大きいものを「広間」、それ以下のものを「小間」や「草庵風茶室」と呼びます。
四畳半の茶櫃は、どちらに入るの?となると、点前(てまえ)の際に台子(だいす)という棚物を使うかどうかで決まります。
台子を使う点前の場合は、広間。台子を使用しない場合は小間の扱いとなるそうです。


大(台)目構(だいめがまえ)。
大目構は、草庵風茶室を特徴づける茶室の内部の構成要素です。
千利休の晩年に積極的に用いられました。
極限まで切り詰められた茶室に、客と亭主を区切るパーティションの役割として、中柱と下がり壁があります。


(渡邊邸の茶室:孤月(こげつ)庵)

下がり壁には、畳から60~67センチほど上がった場所に引竹を設け、その下は吹き抜けとなっています。

点前座側には、2段の釣棚。中柱に袋釘を打つのも特徴です。

*袋釘(ふくろくぎ)というのは、茶入れ袋を掛けるために打った釘のことです。


写真を見ると、点前座側(写真の左側)と、客座側(写真の右側)では、土壁の下部の色が違います。
「腰張り(こしばり)」と言って、土壁を保護するために、和紙などを張った部分ですが、紺色の湊紙(みなとし)、白色の西の内紙を用いることが多いのですが、点前座と客座を区切る役目も持っているそうです。



************************
古民家再生と築40年以上の木造住宅改修・設計専門店
工事も頼める設計屋さん
㈲谷野設計
さぬき市大川町富田西2911-1
0879-43-6807
info@tanino-sekkei.co.jp  


Posted by 谷野設計 at 17:37Comments(0)古民家探訪建築用語茶室