2015年12月28日

出雲大社 本殿の向きと鎮座の向きの違いと御神体のなぞ

こんにちは☆
さぬき市の「古民家再生と築40年以上の木造専門」の
工事も頼める設計屋さん
谷野設計の学芸員・谷野友香です(^^)
お読みいただき、有難うございます。


今回は、出雲大社本殿と鎮座とで食い違う向きについて☆
出雲大社 本殿の向きと鎮座の向きの違いと御神体のなぞ
(画像は、出雲大社hpより拝借した平面図)
普通は入り口に向かう形で正面に鎮座されるのですが、出雲大社の鎮座の向きは、横向き。西に向かう形で鎮座されています。
その為、拝殿から拝むと、大国主命に拝することにならないため、西から拝します。


この鎮座の向きにも諸説あるのですが、そもそも出雲大社の御神体は何か?というところに目を向けるとまた面白いんです(*'ω'*)
出雲大社(正式名称:いずもおおやしろ)は、杵築大社(きづきおおやしろ)と古くは呼ばれていました。その名残は、地名に残っています。その他にも、古書によて呼び名が違ったりするのですが、今回は割愛します。

出雲大社の御神体は、一般的に「大国主命」とされています。
大国主命には沢山の別名があります。

神社は本殿の背面に御神体が配するように(拝むときに御神体に向かって拝めるように)古代から建築されています。
出雲大社の本殿は、北を背面としています。神社に多いかたちです。
一般的な神社が北を背面にしているのは、「北に神がいる」という中国から伝わった天文思想によるところが大きいのですが、
出雲大社の場合、その天文思想というよりも、背後にある「八雲山」を御神体とする山神信仰によるものと考えた方が自然です。
つまりは、出雲大社の御神体は「八雲山」ではないかというのが一つ。

出雲大社 本殿の向きと鎮座の向きの違いと御神体のなぞ
(素鵞社と八雲山)

次に、出雲大社の背面、八雲山との間に位置する「素鵞社(そがのやしろ)」。こちらの祭神は「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」です。
大国主命の父神(義父神)にあたる神ですが、こちらも「八雲山」を背面に鎮座する形をとっています。
この素鵞社は、出雲大社の摂社ではなく、独立した神社とされています。
形・大きさこそ出雲大社本殿の方が大きく目立つものの、父神に配慮していることが本殿の位置と向きに表れています。
出雲大社の銅の鳥居には、「素戔嗚尊」を御神体とするという記述も残されており、大国主命より素戔嗚尊に重きを置いていたことが窺い知れます。


本殿の南面(北を背面にしている)理由は、八雲山・素戔嗚尊で説明がつきますが、
本殿内部の御鎮座の西面(東を背面にしている)は、なぜでしょう・・・?

出雲大社の見解としては、西方にある稲佐海岸と相対するためとしています。これは、神話の中の海から来た神を大国主が迎えるというエピソードから考えられた説だと思います。
私個人的には、この説が少し疑問です。
というのも、神社は拝む先に御神体とされるものがあるのが通常であるため、その背面を考える方がしっくりくるからです。
鎮座されている背面は東。
古代日本では、太陽への崇拝や占いなど太陽の存在がとても大きなものでした。
それを考えると、陽の昇る方角である東を背面としていることに最も大きな意味があるのではないかと考えています。


確かなところは謎のままですが、本殿と鎮座の向きの違いは、自然信仰(山・太陽)と父神への配慮など一つを御神体と捉えるのではない大きい意味での自然信仰を基盤としているのかもしれません。


建物から読み解くミステリー、面白いですね(*^-^*)

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